松崎酒造店
代表銘柄:廣戸川・石背
福島県
FUKUSHIMA
1892年創業
福島県岩瀬郡天栄村にて1892年(明治25年)に創業。麹屋を営んでいた松崎七之助によって始まりました。看板銘柄「廣戸川」は、蔵の近くを流れる釈迦堂川の旧名「広戸川」に由来し、福島県須賀川市産のコシヒカリを用いた純米酒「石背(いわせ)」などの銘柄も醸しています。酒造りでは、福島県産の酒造好適米「夢の香」を主原料に使用し、飲み手の日常に寄り添う高品質な食中酒を追求。伝統的な五感を使った手仕事と品質管理設備を組み合わせた丁寧な醸造を行っています。
若き蔵元杜氏の松崎祐行氏が平成23酒造年度に仕込んだ「大吟醸廣戸川」で全国新酒鑑評会に初出品して金賞を受賞して以来、金賞が選ばれた年度に限れば令和3酒造年度まで10回連続で金賞を受け、通算では金賞13回を数えます。また、「廣戸川 特別純米」は2023年のG7広島サミット夕食会で振る舞われたほか、「廣戸川」が2023年東北清酒鑑評会(純米酒の部)で最優秀賞を受賞するなど、高い評価を受けています。
松崎酒造店の歩み
松崎酒造は1892年(明治25年)、麹屋を営んでいた松崎七之助が現在の天栄村にあたる地で始めた酒蔵です。看板の銘柄「廣戸川」は、蔵に近い天栄村東部を流れる釈迦堂川の旧名「広戸川」にちなんだ名で、創業時から続いています。長く村の地酒として、おもに地元で飲まれる普通酒を醸してきました。
転機は2011年です。5代目蔵元・松崎淳一さんの長男として1984年に生まれた松崎祐行さんは、2007年の春に大学を出て蔵に入り、福島県清酒アカデミーの17期生として醸造を学びました。2011年3月の東日本大震災で蔵の被害は軽く済んだものの、その8日後に杜氏が病に倒れます。次の造りの見通しが立たない中、同じ年の秋の家族会議で祐行さんは「僕が造る」と宣言し、26歳で6代目の蔵元杜氏になりました。この2011年から、松崎酒造は販路を全国へ広げています。
杜氏として初めて挑んだのが全国新酒鑑評会でした。それまで一度も出品したことのなかった蔵が、福島県産の酒造好適米「夢の香」を40%まで磨き、M310酵母で仕込んだ大吟醸を初出品し、平成23酒造年度に初めての金賞を受けています。その後も平成30酒造年度までの8年連続で金賞を受けました。令和元酒造年度は金賞の選定そのものが行われず入賞にとどまりましたが、令和2・3酒造年度も金賞で、金賞が選ばれた年度に限れば平成23酒造年度から令和3酒造年度まで10回連続です。
令和4酒造年度は入賞で、令和5・6・7酒造年度は再び金賞を受けています。平成14酒造年度以降では15回入賞し、うち金賞は13回にあたります。
全国新酒鑑評会のほかにも評価は広がっています。仙台国税局の東北清酒鑑評会では、2013年、2015年、2018年、2020年、2021年、2023年、2025年と7回の年で優等賞を受けています。2023年は吟醸酒の部で優等賞、純米酒の部では銘柄「廣戸川」が最優秀賞に選ばれました。福島県酒造協同組合の福島県春季鑑評会では、令和7年に夢の香の部で廣戸川が県知事賞に輝き、同年は吟醸酒の部と純米酒の部でも金賞でした。令和8年も吟醸酒の部と夢の香の部で金賞を受けています。
市販酒の品評会SAKE COMPETITIONでは、2014年にFree Style部門で1位、2016年に純米酒部門で2位となり、40歳以下を対象とする若手奨励賞も受けています。2023年のG7広島サミットでは、夕食会の提供酒に「廣戸川 特別純米」が採用されました。
現在の代表取締役は松崎淳一さん、杜氏は祐行さんです。製造は20代から30代の蔵人を中心とする約10人のチームで担い、蔵のモットーは「技術が第一」です。目立つ酒質よりも、長く愛される質の高い地味な酒を追求する姿勢を、蔵は「一杯よりも一升を飲み干してほしい」という言葉で表しています。
酒造りの特徴
原料米は福島県産の酒造好適米「夢の香」が中心で、ラインナップの大半を占めます。夢の香は平成12年に福島県が開発した品種で、耐冷性があり、心白が大きいことが特徴です。使う米のほとんどは、地元・天栄村の湯本地区や福島県内で育てられたものです。砕けやすい米なので、割れないように丁寧な手仕事で仕込み、雑味のない力強い味わいを引き出しています。
仕込み水は、蔵の敷地に湧く井戸水です。マグネシウムやカルシウムなどのミネラルが程よく溶け込んだ中硬水で、発酵力が強く、キレのよい酒に仕上がります。この水の力を活かし、低温で発酵を抑えながら米の甘みを引き出し、吟醸香のある綺麗な味わいを目指しています。
造りの軸は麹です。麹を狙い通りに造り込み、醪を健全に発酵させることを基本とし、福島県がまとめた吟醸造りの指針「福島流吟醸マニュアル」を土台に、麹造りや醪の管理を徹底しています。鑑評会に出す酒と市販酒とで造りを変えることはなく、すべての酒に同じ手間をかけます。出品酒は2〜3本を仕込んで最良のものを選んでいます。搾った酒は速やかに瓶詰めして冷蔵し、瓶詰め後も冷蔵で管理して、フレッシュな味わいを保ちます。
新しい取り組みも続けています。麹室を新しくして春・秋・冬の季節ごとの違いを細かく調整できるようにしたほか、雄町や山田錦といった、これまで使ってこなかった酒米を用い、「廣戸川らしい、でもいつもとは違う美味しさ」を試しています。
代表銘柄
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廣戸川
創業以来の銘柄で、蔵が世に出す酒の中心です。特別純米は夢の香を55%まで磨いた定番で、生産量の約4割を占めます。ほかに純米吟醸(50%)、純米大吟醸(40%)、純米にごり生酒(60%)、純米吟醸生酒などを造っています。穏やかな甘みと滑らかな旨味の食中酒で、冷やしても常温でも燗でも楽しめます。
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「いわせ」と読む、主に地元向けに出している純米酒です。福島県須賀川市産のコシヒカリを100%使い、精米歩合は60%、アルコール度数は16度です。すっきりとした口当たりにほのかな甘みがあり、冷やからお燗まで幅広い温度で楽しめます。夢の香を中心とする廣戸川とは米が異なり、2024年時点で天栄村のふるさと納税の返礼品にも採られています。
見学・購入
- 蔵見学
- なし
- 補足
- 蔵見学は受け付けていません。廣戸川は品質管理のできる全国の特約酒販店で扱われており、取扱店は公式サイトで案内されています。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 福島県岩瀬郡天栄村大字下松本字要谷47-1
- 創業
- 1892年
- 公式サイト
- matsuzakisyuzo.com
出典
sakedata.jp / fukunosake.com / sakenomy.jp / note.com / tenei-trip.com / matsuzakisyuzo.com / nta.go.jp / nrib.go.jp / sakestreet.com / shopping.kimijimaya.co.jp / furunavi.jp / gurutto-mazar.com
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