出石酒造
代表銘柄:楽々鶴
兵庫県
HYOGO
1708年創業
兵庫県豊岡市出石町に拠点を置く出石酒造(出石酒造有限会社)は、1708年(宝永5年)に創業した歴史ある老舗酒蔵です。出石藩主・仙石公の「酒を献上せよ」という命によって酒造りを始めたと伝えられています。蔵のシンボルとなっている「赤い土壁」の酒蔵は、明治の大火を乗り越え270年以上の歴史を刻む建造物で、出石の城下町の風情を象徴する存在です。
代表銘柄の「楽々鶴(ささづる)」は、古くからお酒の別名として親しまれてきた「笹の露」と仙石公の別荘「楽々園」に由来し、地元・但馬の空を舞うコウノトリ(鶴)への思いも込められています。伝統的な手仕事で醸される「楽々鶴」は、キレのある辛口でありながら角のないまろやかな味わいが特徴で、冷酒だけでなく常温や燗酒でも米の旨味が引き立ちます。
母屋の直売店「中易酒店」では歴史ある趣の店舗でお酒の試飲や購入ができるほか、古い酒蔵の2階で落語会などの催しも開かれています。
出石酒造の歩み
出石酒造は、兵庫県北部の城下町、豊岡市出石町にある造り酒屋です。創業は1708年(宝永5年)で、出石藩主の仙石公が「酒を献上せよ」と命じたと伝わっており、蔵ではこの年を創業年としています。その2年前の宝永3年(1706年)には、出石藩主の松平家と信州上田藩の仙石家とのあいだで国替えがありました。
この地で酒造りを始めた理由について、14代目当主の中易裕明さんは「水がいい。いい井戸水があるから、ここで醸造をするようになりました」と語っています。
現在の場所では約300年前から、「かずかや門垣屋」という造り酒屋が酒を造っていたと伝わります。ときの藩主から「女にも年寄りにも飲める酒を造れ」と命じられて醸したところ気に入られ、「緑」という名を授かったといいます。この酒は甘くて濃醇で、杯に注ぐと手にねばりが残るほどでした。1876年(明治9年)の大火で門垣屋の酒蔵は焼け落ちましたが、「緑」の名は「楽々鶴」が生まれるまで受け継がれ、ラベルにはカツオが描かれていたそうです。
戦前には出石町に3軒、但東町に2軒の造り酒屋がありました。これらが1943年(昭和18年)に企業合同して誕生したのが現在の出石酒造で、このときそれぞれの銘柄を整理して新たに付けた名前が「楽々鶴」です。出石酒造有限会社として法人を設立したのは1948年1月で、14代目当主の中易裕明さんが代表取締役を務め、清酒「楽々鶴」の製造・販売と、酒粕などの関連商品の販売を行っています。
蔵のシンボルは、通りに面した赤い土壁の酒蔵です。270年以上前に建てられた建物で、壁は6層塗りで厚さは約40センチあります。普通は2〜3層塗った上に白い漆喰を重ねますが、この蔵は壁を塗るだけで2〜3年を要しました。夏は暑く冬は冷え込む寒暖差を厚い壁でやわらげ、山陰特有の湿気を土壁が吸い、火災にも強いという利点があります。風化が進んでいた土壁は、近年修復されました。1876年の大火では出石城下町の7割が焼け、そのなかで酒蔵の一部は残り、母屋や一部の蔵が建て直されています。
この古い蔵は、現在も瓶詰めと貯蔵に使われています。母屋はもともと家族や働き手、女中さんなど大所帯が暮らし、お膳を並べて食事をした場所でした。
酒造りの特徴
楽々鶴は、300年の伝統を受け継ぐ製法と職人の手仕事によって醸されています。かつての「緑」は甘く濃醇な酒でしたが、現在の楽々鶴は人々の嗜好の変化に合わせてすっきりとした味わいになり、ふくよかな香りとコクは昔のままです。純米大吟醸には兵庫県産の山田錦を使い、辛口で品格のある味わいに仕上げています。
母屋には、かつて酒米を蒸していた大きな釜が残っています。釜の下には焚口があり、床板を開けると階段が下へ続いています。釜でお湯を沸かして上に甑(こしき)をのせ、1回に1000キロほどの米を毎日蒸していました。蒸気で曇らないよう天井は高く造られ、柱や梁には硬くて丈夫な欅(けやき)や松が使われています。
商品ごとに表情は異なります。純米酒は辛口でなめらかで丸みがあり、上撰はやや辛口で、冷やから熱燗までどの温度でも楽しめる定番の一本です。原酒はアルコール度数が19.3度と高く、やや辛口で力強い味わいで、冷やすか氷を入れてロックで楽しむのに向いています。
このほか、生酛仕込みの純米酒や、砂糖を使わないノンアルコールの「あまさけ」も蔵で扱っており、冷やして飲むほか炭酸水で割る飲み方も勧められています。冬には酒粕も店頭に並びます。
代表銘柄
楽々鶴
代表銘柄の楽々鶴(ささづる)は、古くから酒の別名として親しまれてきた「笹の露」と、出石藩主・仙石公の別荘だった「楽々園」にちなんで名づけられた純米酒です。「鶴」の字には、出石の空を舞う吉鳥・コウノトリへの想いも込められています。きりっとした辛口ながら角のないまろやかな口当たりで、冷やはもちろん、常温やぬる燗で奥行きが引き立ちます。和食に合わせるだけでなく、洋食や餃子、焼肉といった味のしっかりした料理とも相性がよい自由な一本です。
見学・購入
- 直売所
- 直売店「中易酒店」は蔵の母屋にあります。楽々鶴の試飲ができ、楽々鶴各種、季節限定の酒、酒粕(冬季限定)などを販売しています。営業時間は9時30分から18時30分で、定休日は不定休です。
- 補足
- 休業日は公式サイトのお知らせで告知されます。出石城跡から徒歩約5分、辰鼓楼から徒歩約3分の場所にあります。2026年6月には酒蔵の2階で落語とお酒の会が開かれ、50名限定の席が満席になりました。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 兵庫県豊岡市出石町魚屋114-1
- 創業
- 1708年
- 公式サイト
- www.big-advance.site
出典
meisyu.net / daytrip-izushi.jp / japansake.or.jp / izushi-sasazuru.jp / asahi.co.jp / wikipedia.org / saketime.jp / toyooka-tourism.com / 360navi.com / hyogo-sake.or.jp
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