加賀の井酒造
代表銘柄:加賀の井
新潟県
NIIGATA
1650年創業
1650年(慶安3年)創業。県内有数の老舗として知られます。1652年に当蔵敷地内に加賀藩の糸魚川本陣が置かれた際、献上された酒を嗜んだ加賀藩3代目当主・前田利常公により「加賀の井」の酒銘を賜りました。代々受け継がれてきた井戸水などこだわりの水と厳選された米を用い、「つくる事は育むこと・基本に忠実な酒づくり」を掲げて淡麗ながらも旨口の味わいを表現しています。
2016年12月に起きた糸魚川市大規模火災(糸魚川大火)によって江戸時代から残る土蔵1棟を除いて酒蔵が焼失する大きな被害を受けましたが、2018年3月に同じ敷地内で新蔵を再建して酒造りを再開しました。フランスで開催される日本酒コンクール「Kura Master」で「加賀の井 純米大吟醸」や「加賀の井 純米吟醸山田錦」が金賞を受賞するなど、海外のコンクールで評価を受けています。2023年1月からは株式会社伝統蔵の傘下にあります。
加賀の井酒造の歩み
加賀の井酒造は、江戸時代前期の1650年(慶安3年)、現在の糸魚川市大町にあたる地で創業した酒蔵です。1652年(承応元年)には蔵の敷地内に、参勤交代の際に加賀百万石の前田家が使う糸魚川本陣が置かれました。加賀藩をはじめとする加州三藩の藩主や家老に酒が献上され、愛飲されたと伝わります。献上された酒を気に入った前田家3代の前田利常公が命名したのが、酒銘の「加賀の井」です。この名は、以来今日まで大切に受け継がれています。蔵は本陣として場を提供するとともに、町年寄を担うなど、町の中枢でもありました。
元禄10年(1697年)には、当主が「酒は水しだい」と考えて新しい井戸を掘りました。従来の井水に比べて、酒母のゆるみがよく、味ののりも上々、寒造りに使うのにふさわしいという結論を得た水が、今も蔵の酒造りを支える水の出発点です。田舎酒と軽んじられがちだった越後の片隅で、往時の主人は酒質の改良に心を砕き、「加賀の井」はその頃から水を大切にする蔵でした。
蔵の歩みは順調な時期ばかりではありませんでした。2006年には多額の負債を抱えて事業を停止し、他社の支援を受けながら存続する道を選びました。その後は10年ほどかけて酒質を高め、販路を広げながら経営の立て直しを進めています。2023年1月には、盛田が保有していた酒造会社10社の株式が株式会社伝統蔵へ譲渡され、加賀の井酒造もその1社となりました。
2016年12月22日の午前、糸魚川市大町の飲食店から出火した火は、強い南風にあおられて市街地に広がり、翌23日の夕方に鎮火するまで約30時間燃え続けました。糸魚川市駅北大火です。商店街の中心にあった蔵も延焼し、江戸時代から残る土蔵1棟を除いて焼失しました。焼け残った蔵の中の酒も熱でほぼすべて失われ、被害額は4億円以上とされます。当日は午前10時半から蔵見学の客を迎える予定で、弟の小林久洋さんは前職を辞めて糸魚川に戻ったばかりでした。
兄で第18代蔵元の小林大祐さんと久洋さんは、大火の直後から、酒造りをやめるという選択肢は考えず、蔵を建て直す道を探り始めました。
再建の拠点に選んだのは、同じ敷地でした。代々使ってきた井戸の水を変えないことが、一番の思い入れだったためです。親会社の盛田も再建を支持するなか、翌2017年の2〜3月と10〜11月には、グループ会社である富山県黒部市の銀盤酒造の設備を借りて、必要最低限の酒を仕込みました。久洋さんは大火の翌月から、岩手県の酒蔵で酒造りを学び、東日本大震災で被災した蔵も訪ねて再建の経緯を聞いています。
新蔵の設計では、費用を抑えること、食の安全を保てること、以前と同じように蔵見学ができることの3点を条件とし、上川大雪酒造の酒蔵を手がけた建築士の大島有美さんに設計を依頼しました。2018年3月、2階建ての新しい酒蔵が完成して仕込みを始め、ゴールデンウィーク中に最初の酒を出荷する予定で準備を進めました。焼け残った土蔵は、再建にあたって大火の記憶を伝えるものとして敷地に残されました。
再建後は、フランスの日本酒コンクールKura Masterで、2020年に純米大吟醸と純米吟醸、2021年に特別純米「糸魚川産」、2023年に純米吟醸山田錦、2025年に純米大吟醸が、それぞれ金賞を受賞しました。
酒造りの特徴
糸魚川は、フォッサマグナで知られる日本列島の地質と、国石である日本産ヒスイに身近に触れられる、ジオパークに認定された土地です。仕込み水は、ヒスイの原産地であるヒスイ峡付近からの伏流水で、軟水が多い日本国内では珍しい中硬水(アメリカ硬度130ppm)です。同じ町の中でも水に恵まれない地区があり、この場所は創業時から酒造りに適した土地でした。蔵はこの硬水を、米の特性と合わせる相手として酒の味づくりを考えています。
酒米は、新潟県の主力品種である五百万石を中心に、たかね錦、山田錦、越淡麗を使い、県内産の酒米を中心に醸しています。産地が近いために生産者と互いの顔が見える関係にあり、その年ごとの作柄を理解し、情報を交換しながら酒造りに生かしています。新蔵では、以前より原料の状態を見極めて各工程を進められるようになり、米づくりを意識した酒造りができるようになりました。
新蔵は、仕込み蔵や米蔵、釜場が別々に建っていた以前の蔵と違い、これらを一つの建物に集約し、部屋ごとに機能を分けた設計です。再始動した2018年には、秒単位で吸水を調整できる洗米機を入れ、麹室は高温多湿の前室と湿度を調整する後室、出麹専用の部屋に分けました。仕込みタンクは温度管理ができる8本の小仕込み用で、搾りの部屋にも冷蔵設備があります。使う種麹を1種類に絞り、酒母も基本どおりの速醸から始めるなど、教科書的な造りから出発しました。蔵は大量生産を追わず、人の目と手がしっかり届く範囲での酒造りを掲げています。
経営理念は「つくる事は育むこと」で、「前例がないからこそ基本に忠実に行う」ことを、酒づくりでもっとも大切にしています。
目指す味わいは、淡麗ながらも旨口で、芯の通った旨味と後味のキレがバランスよく並ぶ酒です。「酒は食事と共に」という考えから、蔵の裏手に広がる日本海の白身魚や南蛮海老、蟹といった、上品で繊細な素材に合う酒を意識しています。蔵の大吟醸「くろうざえもん」は山田錦を全量使い、精米歩合40%で、瓶詰め後に1年以上低温で熟成させてから出荷します。純米吟醸「たかね錦」は新潟県産のたかね錦を精米歩合55%で醸し、純米酒は五百万石などを65%まで、上撰本醸造は60%まで磨いています。
代表銘柄
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加賀の井
「加賀の井」は、加賀藩主の前田利常公が命名した、蔵の酒銘です。大吟醸「くろうざえもん」、純米吟醸「たかね錦」、純米酒、上撰本醸造などを造り、中硬水の仕込み水を生かして、芯の通った旨味と後味のキレを目指します。日本海の白身魚や蟹との相性を意識した食中酒です。Kura Masterでは純米大吟醸が2020年と2025年に金賞を受賞しています。
楽天で商品を見る見学・購入
- 蔵見学
- あり(要事前確認)
- 直売所
- 公式オンラインストアで購入できます。
- 補足
- 蔵見学は通年で受け付けていて、定休日は不定休です。時間は午前10時から午後5時まで、人数は1名から30名ほどまでが目安で、所要時間は約30分で、酒造棟の外部から洗米、仕込み、貯蔵、瓶詰の各工程を案内します。案内や試飲を希望する場合は2日前までの予約が必要で、土日祝日は事前の連絡をお願いしています。駐車場があり、大型バスも利用できます。
見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。
蔵の基本情報
- 所在地
- 新潟県糸魚川市大町2-3-5
- 創業
- 1650年
- 公式サイト
- kaganoi.co.jp
出典
kuramotokai.com / kaganoi.co.jp / niigata-sake.or.jp / wikipedia.org / niigata-kankou.or.jp / rakuten.co.jp / cushu.jp / kuramaster.com / city.itoigawa.lg.jp / jp.sake-times.com / tjniigata.jp / moritakk.com
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