SAKE BREWERY — AICHI

丸石醸造

愛知県岡崎市中町6丁目3-3 1690年創業

紹介

丸石醸造は、元禄3年(1690年)に愛知県岡崎市で創業した歴史ある酒蔵です。初代・投町三太夫が東海道の往来から酒造りを伝え聞き、自保有米を活用して興したことに始まります。明治期には灘にも蔵を構え、灘の酒を「長譽」、地元の酒を「三河武士」として展開しました。太平洋戦争中の岡崎空襲で大部分を焼失したものの、焼け残った味噌蔵を再築して日本酒造りを存続させました。

矢作川の伏流水を用いた酒造りを行っており、主な銘柄に「二兎」「三河武士」「長譽」「徳川家康」などがあります。2015年に誕生した看板銘柄「二兎」は、「二兎を追う者しか二兎を得ず」の信念のもと、「味と香」「甘と辛」など二律背反する要素が最高のバランスになる味わいを追求しています。近年では全国新酒鑑評会で金賞を受賞する実績も残しており、伝統を守りながらも新たな挑戦を続けています。

歴史

丸石醸造の公式サイトによれば、元禄3年(1690年)、初代が東海道の往来から酒造りの知識を得て、自ら保有する田の米を活用して岡崎で酒造業を興したのが始まりとされています。公式サイトでは初代を「投町三太夫」と記しています(Wikipediaでは移住先の地名が投町、当主は代々「深田三太夫」を襲名したとされます)。一方でWikipediaの記述では、大和国郡山から岡崎城下に移住した深田家がもともと農業や木綿商を営んでおり、明和7年(1770年)に酒造株を譲り受けて本格的に酒造業へ転換したとされ、両者で創業の起点となる年に幅があります。所在地の岡崎市は徳川家康の生誕地であり、同社は自社銘柄「徳川家康」を展開するなど、この地域史と結び付いた酒蔵として歩んできました。

明治期に入ると事業は拡大し、明治33年(1900年)頃には兵庫県西宮市久保町(Wikipediaでは明治29年(1896年)設立の丸石合資会社が灘工場「誉蔵」を建設したと記載)に蔵「誉蔵」を構えて灘での酒造りを開始しました。この際、灘で造る酒を「長誉」、岡崎で造る酒を「三河武士」と呼び分けて区別し、さらに味醂・焼酎・味噌・醤油の製造にも事業を広げています。

太平洋戦争中には岡崎空襲により蔵のほとんどを焼失しましたが、戦後、焼け残った味噌蔵を酒蔵として再築し、日本酒造りを存続させました。創業以来さまざまな事業を興す中で、始まりから今日まで続いているのは日本酒造りだけとなっています。

近年の転機は、18代目当主・深田英揮氏が全国の酒販店を営業で回った際に受けた指摘でした。「徳川家康」という銘柄名は豊臣秀吉ゆかりの大阪では受け入れられにくく、「三河武士」という名前は女性が手に取りにくいという指摘に加え、甘さの立つ味わいが現代の嗜好に合わないとの声もあり、深田氏は「このままでは蔵がつぶれてしまう」との危機感を抱きました。そこで一都三県を主なターゲットに、営業戦略を深田氏、味わい開発を杜氏の片部州光氏が担う形で新ブランド開発に着手し、2015年12月に「二兎」を誕生させました。

酒造り

仕込み水には、蔵内の地下20mから汲み上げる乙川の伏流水を使用しています。硬度54mg/Lの軟水で、酒米には山田錦(精米歩合35%)のほか、かつて大正天皇に献上された実績を持ち現在は丸石醸造のみが使用する「萬歳」(精米歩合70%)、雄町、出羽燦々、愛山などを用いています。

酒造りの中心を担うのは社員杜氏の片部州光氏です。麹造りでは、菌糸が表面だけでなく深く中まで伸びる「突き破精」型を目指しており、糖化酵素を十分に引き出すことを重視しています。麹の「枯らし」の工程では結露が雑味につながるため、しっかりと風を当てて乾燥させています。仕込みは限定吸水による洗米や甑での安定した蒸し上がりを経て、三段仕込みで約30日間の低温発酵を行います。

看板銘柄「二兎」では、フレッシュな微炭酸感を保つため、発酵は0.1℃単位で温度を微調整し、搾った後もサーマルタンクでマイナス3℃まで冷却して炭酸ガスの揮発を防ぎ、ガスが溶け込んだ状態でボトリングしています。こうした造りが評価され、大吟醸「徳川家康」は2021年(令和2酒造年度)の全国新酒鑑評会で金賞を受賞し、この時点で通算14回目の金賞となりました。

蔵データ

所在地

愛知県岡崎市中町6丁目3-3

創業

1690年(愛知県)

公式サイト

www.014.co.jp

代表銘柄

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二兎:愛知県以外にも丸石醸造の酒を届けたいとの思いから、2015年12月に誕生した新ブランドです。「二兎追うものしか二兎を得ず」という発想のもと、「味と香」「酸と旨」「甘と辛」など一見相反する要素の最高のバランスを追求しています。フレッシュさと後味の良さ、食との相性を軸に、山田錦・萬歳・雄町・出羽燦々・愛山など米違いで10種類のラインナップを展開しています。

長譽:かつて明治期に兵庫県西宮市の蔵で醸された灘の酒を指す名として、岡崎で造る「三河武士」と区別するために用いられた銘柄です。現在は上撰クラスの日常酒として地元岡崎で親しまれており、家庭での晩酌や祭り、お供えなど幅広い場面で使いやすい一本と位置づけられ、地元の八丁味噌を使った味噌カツや味噌田楽との相性も提案されています。

Bassyu:「抜酒(Bassyu)」は2011年春に始まった、東海3県の地酒屋有志17店が完全ブラインド試飲で選び抜いた無銘柄の日本酒シリーズです。銘柄やスペックにとらわれず純粋な旨さだけを基準に商品化されるのが特徴で、丸石醸造は第6回にこのシリーズへ選出されました。丸石醸造版の定番として「抜酒 Bassyu 純米吟醸原酒」が扱われています。

三河武士:丸石醸造で最も古くから続く銘柄で、江戸時代から受け継がれてきました。愛知県三河地方産の米を100%使用し、地元向けの酒として位置づけられています。純米吟醸は透き通るような香りと果実味が特徴で、純米はじわじわとした旨味とすっきりした後味を持ち、昔ながらの甘みと酸味が調和した岡崎伝統の味わいを継承しています。

見学・購入

蔵見学

あり(要事前確認)

直売所

本社敷地内に直売所「醸庵」を併設しており、営業時間は9:00〜16:00です。日曜・祝日は休業しており、ゴールデンウィーク・お盆・年末年始も定休日となります。インターネット販売は行っておらず、「二兎」は特約店のみの取り扱いです。

補足

蔵見学は事前予約制で受け付けられています。アクセスは、車の場合は東名高速道路「岡崎IC」から約5分、公共交通機関の場合は名鉄名古屋本線「東岡崎」駅からバスで「徳王神社」下車徒歩約5分(徒歩のみの場合は駅から約20分)です。

見学・販売の情報は変わることがあります。訪問前に公式サイト等でご確認ください。

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出典

sakenomy.jp / torasake.com / 014.co.jp / nihonmono.jp / pref.aichi.jp / okazakitakuminokai.jp / guidoor.jp / ja.wikipedia.org / sakekomachi.jp / aichinow.pref.aichi.jp / okazaki-kanko.jp / bassyu.jimdofree.com / sakekoba.com / bloguru.com / japansake.or.jp / tokai.shinkin-takaramono.com

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